「ただいま」
「おかえり、あら優二君じゃない」
「おばさん、こんにちは」
「今日が優二の誕生日なんだ。だからお祝いしてあげようと思って」
「ふ〜ん、今日だったの。それでケーキ買ってきたのね」
「うん。ピアノを弾いてあげるんだ」
「弾けるの?随分練習してたみたいだけど、あの音じゃ……」
「だ、大丈夫だって」
「それならいいんだけど。優二君、あまり期待しないでね」
「は、はい。まあ……努力してくれたみたいですから」
「もうっ!いちいちお母さんは言わなくてもいいのっ」
「はいはい。それにしても啓子の服がよく似合ってるわね。今日のために啓子に借りたの?」
「ま、まあね」
「まだ子供だと思ってたけど、そうやって啓子の服が着れるようになったんだ」
「そ、それはいいから。ピアノを弾いてケーキ食べるから、お皿とフォークを出しといてよ」
「お母さんのケーキは?」
「ないよ」
「そうなの?折角だから、お母さんも優二君の誕生日をお祝いしてあげたかったのに」
「お祝いするのは私だけでいいのっ」
「俺、おばさんにも祝ってもらいたかったな」
「そうでしょ!」
「ちょ、ちょっと優二っ!」
「お母さん、駅前のケーキ屋さんで買ってくるから食べるの待ってて頂戴」
「え〜っ!そんなのやだよ」
「いいじゃない。ねえ優二君」
「はい。僕は全然」
「……駅前なんて、一時間くらい掛かるじゃないの」
「仕方ないでしょ。近くにケーキ屋さんがないんだから」
「もう……」
「そう言えば亜樹。啓子、何処に行ったのか知らない?朝から姿が見えないんだけど」
「えっ!?け、啓子姉はピアノ教室があるから遅くなるって言ってたけど」
「そうなの?確か今日は休みだからゆっくりするって言っていたと思ったんだけどね」
「き、急に行かなきゃならないって言ってたよ」
「ふ〜ん、そうなんだ。じゃあ啓子のケーキは要らないわね」
「……うん」

結局、母親が帰ってくるまでケーキはお預けになった。
本当はケーキにロウソクを立て、火を点けてからピアノ演奏をして優二に吹き消してもらいたかったのに。

「おばさんが帰ってくるまで待っていればいいじゃないか。俺、少しくらい遅くなっても構わないよ」
「でも、あまりゆっくりしている時間が無いのよね。多分、大丈夫だと思うけど」
「時間が無いってどういう事だよ?」

その問いには答えなかった亜樹は、二人で冷蔵庫にケーキを入れた後、啓子の部屋に向うべく階段を上がり始めた。
先に上がる亜樹の後ろ姿。優二は、そのタイトスカートに包まれたお尻に視線を集中させた。
階段を上がるたびに、お尻が左右に揺れている。
タイトスカートを穿くだけで、こんなに大人びたお尻になるんだ。
優二は、そんなお尻に興奮を覚えてしまった。

「どこ見てるのよ、エッチ!」
「えっ……あ、ああ。ごめん」

振り向いた亜樹は、優二の視線の先を手で隠した。

「このお尻ってそんなに魅力的?」
「い、いや。そういうわけじゃ……」
「優二も男だね」
「…………」

何も言い返せなかった優二は、そのまま亜樹と一緒に啓子の部屋に入った。