「や、やめてよっ。もうっ!」

両親から見えなくなったところで、里香はスウェットの中で胸を揉み続ける道夫の手を引き離そうとした。
すると、道夫の手はフッと消えて、里香はスウェットとブラジャーを握っているだけになるのだ。
しかし、また手が現れて胸を揉み始める。

「ちょっと……も、もうっ」

階段を上がり、自分の部屋に戻ってからもそのイタチごっこのような二人の行動は続いた。

「いいだろ。減るもんじゃないんだからさ」

里香の横に、道夫の頭が現れた。
まるで生首のようで気持ち悪い。

「嫌よっ!放してっ」
「大きな声を出していると、お母さんに怪しまれるぞ」
「だから……もうっ!」

何度も道夫の手を引き離そうとするのだが、それは叶わなかった。

「あいつに揉まれるのと俺に揉まれるの、どっちが気持ちいい?」
「そんなの知らないっ!」
「俺の方が気持ちいいって言ってくれよ」
「嫌よっ」
「俺の方が気持ちいいって言ってくれたら胸から手を放すよ」
「そんなの……嫌よ」
「やっぱりほんとはあいつの方が気持ちいいんだな」
「……そ、そうよ!仁志の方が優しくて……こんなに強引にしないんだからっ」
「俺だって優しく揉めるんだけど、里香がそうやって邪魔をするからさ」
「触られたくない人に触られているのよっ。抵抗するに決まってるじゃない」
「触られたくない人……か」
「そうよっ。道夫に私の身体は触られたくないの。分かったら早く手をどけてっ」
「……そうか。そんな事言われたら……余計に触らなきゃ」
「あっ!い、いやっ!」

道夫は頭を隠すと、乳首をギュッと摘んでコリコリと指で転がした。

「やめてっ……いや……ぁ……」

里香はその刺激に、たまらずベッドに転がり崩れた。
猫のように丸まって、自分自身の身体を抱きしめている。

「だ……だめ……い……やぁ……」

今度はスウェットのズボンの中に手が現れた。

トントン……

扉をノックする音。

「やだ……こ、こんなときに……」
「里香?入るわよ」
「お、お母さん……ちょ、ちょっと待って……」

慌てて掛け布団をかぶった里香が、道夫の手を静止させようしたその時、ドアノブをまわす音がして、母親が心配そうに顔を覗かせた。