大学に行くために毎日乗っている電車。
今日も女性専用車両に乗って片道30分の電車通学。
少し寝坊して1本遅い電車に乗ったけど、それでも余裕の時間だった。
昨日は友達に借りたDVDを見ていて夜更かししたせいか、こうやって電車に揺られていると眠気が襲ってくる。
車両の一番端の席。
少し込んでいて、私の前にも数人の女性が立っていた。

「ふぁぁ……眠い」

そう思って目を閉じていると、すっと浅い眠りに入った。
不規則に揺れる電車。
遠くで聞こえるアナウンス。
私の体を心地よい揺れが包んでいた。
そして、胸元をやさしく撫でる手の感覚。
そういえば、最近は彼氏とご無沙汰だったんだ。
そんな事を浅い意識の中で思っていた。

「ん?胸を撫でられてる?」

ふと疑問に感じた。
どうして胸を撫でられているのだろう?
確か私は電車の中で座っているはず。
もしかして痴漢?
ハッとして目を開けた……つもりだった。
でも、私の体は目をあけるどころか、まったく動かなかった。

(気持ちいいだろ)
「だ、だれ?」
(アンタ、大学生かい?白いTシャツにジーンズ姿ってのが何ともそそられるよなぁ)
「な、なに?誰なの?」
(俺は自縛霊さ)
「じ、自縛……霊?」
(そう、この車両が女性専用車両になる前、この席に座っていて若い男に殴り殺されたんだ)
「なっ……」
(何も悪いことはしてないんだぜ。ただアンタのように寝ていたらいきなり殴られたんだ。後のガラス窓に思い切り後頭部を打ち付けて……出血多量だったのさ。その男は捕まらずに今もノウノウと生きてやがる。俺はここであの男がまた乗ってくるのをずっと待ってたんだ。でも女性専用車両なんてものになっちまったから男は一人も乗ってきやしない。恨みが晴れない俺は、こうやってずっとここに自縛霊としているのさ)
「ちょっと。そんな事私に関係ないでしょ!どうなってるのよ」
(たまたま俺の波長とアンタの波長があっただけさ。たまにいるんだ、波長の合う女性が。金縛りにあったように動かないだろ。みんなアンタが眠っていると思っている)
「は、離してよ。私はこれから大学へ行かなきゃならないんだからっ」
(あわてるなよ。折角波長があったんだ。一緒に楽しもうぜ)
「た、楽しむって……ちょ、ちょっと!何してるのよっ」
(柔らかいなぁ、アンタの胸。それに大きいし)
「か、勝手に胸を揉まないでよ」
(大丈夫さ。誰もアンタが胸を揉まれているなんて思っちゃいない。直接胸の感覚を楽しんでいるだけなんだから)
「や、やめてよっ」
(いいだろ。減るもんじゃないし。アンタも気持ちいいくせに)
「き、気持ち悪いわよっ」
(乳首、勃ってるぜ)
「なっ」

私は外見上、寝ているらしいが体は自縛霊に悪戯されていた。誰も気がつかないから助けてもらえない。きっと気持ちよさそうに眠っているとしか思わないのだろう。
自縛霊が言う様に、ブラジャーの中で乳首が硬くなっている。
周りに人がいるというのに。

「お願いだからもうやめてっ」
(いやだね。こんなチャンスはめったにないんだから。乳首、舐めてやるよ)
「えっ……あっ!や、やめっ……」
(気持ちいいだろ。どうだ?幽霊に舐められるのは)
「だ、だめっ……いやだっ……」

乳首が舐められ、吸われている。
ひんやりとしたものに包み込まれ、そのまま転がされている感じ。
今まで味わったことのない感覚に、私は戸惑った。というよりも妙に感じてしまった。
幽霊に愛撫されるのが、こんなに気持ちいいなんて。

(キスしてやるよ)
「キ、キス!?そんなのだめっ……い、いや……んっ」

寝ている私の口の中に、自縛霊の舌が入り込んできた。
私の舌に絡みつき、口の中をいやらしく舐めまわっている。
口は閉じているのに、唇を通り越して入り込む舌の感覚。
こんなの、信じられない。
いやなのに――いやなのに――どうしてこんなに気持ちがいいの?

(ほら、口から涎が出ているぜ。皆、よっぽど良い夢を見ているって思ってるんじゃないか?)
「や、やだ。そんな……」

私にも、唇から顎にかけて涎が落ちている感覚が分かった。
恥ずかしい。
今すぐふき取りたいのに、体がまったく動かない。
ディープキスが終わると、今度は下半身に悪戯を始めた。
太ももを撫でられる感覚。
足を動かそうとしても、その意思が足まで伝わらない。

(そろそろ素直になれよ。気持ちよすぎて、早く入れてほしいと思ってるんだろ)
「だ、誰がそんな事っ!」
(そうかなぁ……ほんとにそうかなぁ)
「もう十分楽しんだんだから早く私を解放しなさいよっ」
(パンティ、濡れてるぜ)
「ひっ!なっ……あっ、やぁ……」

いきなりクリトリスを舐められた感覚に、私は思わず喘いでしまった。
き、きもちいい――すごくきもちいいっ!

(んひひひ。気持ちよすぎてたまらんだろ。どうだ?人が見ているところで悪戯されるのは)
「い、いやっ……あっ、だ、だめぇっ」
(もっと舐めてやるよ。ジーンズにシミができるくらいな)
「だめよっ……んあっ!あっ、やぁだぁ……あっ、んんっ」

それでも私の体はまったく動かなかった。
こんなに感じているのに、ピクリとも反応できない。
でも、私の体は自縛霊の愛撫に酔いしれていた。
ジーンズの中、パンティの生地を通り越して直接舐められるクリトリス。
もう耐えられない。
そう思ったときに、自縛霊が次の行動をとった。

(さあ、俺のチンポをねじ込んでやるよ)
「はぁ、はぁ。だ、だめっ……それだけは許して」
(折角だから上半身だけ開放してやるよ。さて、表情を変えずにいられるかな?)
「なっ……」

自縛霊が言ったとおり、私の上半身は自由になった。
目も開くことができ、顎に伝った涎をふき取ることもできた。
しかし、腰から下が全く動かない。
左足の上に、右足を組んだ状態で止まっている私の足。
両手で動かそうとしても、鉛のように重たくてびくともしない。
私の行動を不振に思う女性がじっと見ている。

おかしな人に思われちゃう。

そう思って、平静を装うとしたとき――

「んああっ!」

私はたまらず声を出してしまった。
膣の中に何かが入り込んできたのだ。

(そんな声を出すから、みんなアンタの事を見ているぜ)

頭の中から自縛霊の声がした。
私――今、自縛霊のアレを挿入されてしまったんだ。

「ぃや……」

私は両手で鼻と口を塞いだ。

「んっ……うぅっ」

自縛霊のアレが、私の中をゆっくりと動いている。
私の足は相変わらず動かない。
変化の無い足の付け根、私の膣は自縛霊の侵入を素直に許していた。

「はぁ……はぁ……ぁぁ」

彼氏のよりも大きくて長い。
そして、ひんやりとしていて――すごい。気持ちよすぎる。
この動きが早くなったら――まともな顔をしていられない。
私はたまらず俯き、両手で顔全体を覆った。
すると自縛霊はピストン運動を早めた。

(そんな事をしてもダメだぜ。ひひひ、気持ちいいなぁ)
「ぁっ、ぁっ、だ、だめ……そんなに奥まで突かないでっ。い、いやぁ」

だめだっ。き、気持ちよすぎてっ!!
身も心も蕩けてしまいそう。
規則正しいピストン運動にあわせて、私の切ない声が手の中に漏れる。
それが次第に大きくなって、自分でも抑えられなくなっていった。

「あっ、あっ、んんっ、んっ、んんっ」
(ほら、もっと声を出していいんだぜ。我慢なんてしないでさ)
「はぁっ、あっ、やんっ、あっ。だめっ、んんんっ」

どうにかしてやめさせなければ。
でも――

私は、顔を隠していた両手で下腹部をぎゅっと押さえた。
もちろん、そんな事をしても自縛霊の動きを止めることなんでできない。
しかも、自縛霊はピストン運動を続けながら乳首を吸い始めた。


「ふああっ!」

あわてて胸を隠す。
しかし、自縛霊の愛撫はTシャツやブラジャーを通り越して直接乳首を吸っているのでどうしようもない。
周りにいる女性たちが私を見ている。

「ああっ、んんんっ。た、助けてっ」

私は一人の女性に向かって助けを求めた。
しかしその女性は不審な顔をしたまま私を見ている。
誰も私が犯されているなんて思っていない。

こんなのって――こんなのって――


「ふっ、んんっ!んっ!あっ、んああ!」

体を抱きしめるようにして上半身を丸めた私は、そのまま自縛霊にイカされてしまった――




「こ、こんなのって……こんなのって……」

自縛霊も私の中で尽きたらしく、私の体は開放された。
下半身に残る蕩ける様な余韻。
胸に残る切ない快感。

私はもう二度とあの電車には乗らない――そう誓った。

でも……



今日も私はあの電車に乗っている。
動かない体を悪戯され、そして無理矢理犯される。

(大変だなぁ。毎日ナプキンをつけて)
「んっ、んっ……んんっ。ぁんっ」
(彼氏はどうしたんだ?)
「ぁっ、ぁっ……わ、別れた……」
(へぇ〜。そんなに幽霊の俺の方が良かったのか?)
「ぁっんっ……んっ……んんんっ」
(まあいい。アンタが望むなら毎日してやるよ)
「ふっ……んああっ!」

結局私は、自縛霊にされた気持ちよさが忘れられずに毎日のようにこの電車で通い続けた。
もうこの快感無しでは生きていけない。
私、このままずっと犯され続けたい――


おわり

まあ……同じ時間に同じ電車が使用されるとは限らないんですけどねぇ(笑