お兄ちゃん――

お兄ちゃんがベッドの上に座ったから、アタシは兄ちゃんを跨ぐように膝立ちした。
遙さんの両手でお兄ちゃんの頭を優しく掴む。

アタシ――今から遙さんの体を使ってお兄ちゃんとエッチするんだ。
胸が苦しいくらい激しく高鳴る鼓動。
そんなアタシを優しい目で私を見つめるお兄ちゃん。

ああ――お兄ちゃん――いくよ――

「んっ!」
「くっ……」

アタシの中に――アタシの中にお兄ちゃんが入ってくる!
お兄ちゃんの大きくて硬いオチンチンが、アタシの中に入ってくるっ。

「はぁぁぁ」

アタシは遙さんのアソコにオチンチンを根元までめり込ませた。
全然痛くない。
痛くないどころか――すごく気持ちいい。
これが遙さんの快感。女の快感なんだ。

「あっ、あっ、あっ」

アタシは無意識のうちに腰を振り始めた。
お兄ちゃんがアタシの腰に手を当ててサポートしてくれる。
アタシの――遙さんの胸に吸い付き、アタシを気持ちよくしてくれる。

「ああっ……い、いいよぉ。気持ちいいよぉ」
「遙っ。俺もすごく気持ちがいい……すごくよく締まるよ」
「はぁ、あっんっ。はぁ、はあ。あんっ、あんっ」

ヌチュヌチュといやらしい音を聞くたびに、アタシはお兄ちゃんと繋がっているんだと意識した。
お腹の中に――アソコの中にお兄ちゃんを感じる。

「うっ、うっ……」

お兄ちゃんもすごく気持ちよさそう。
体を後ろに倒して、お兄ちゃんの上で馬乗りするような体勢になると、アタシはさらに激しく腰を動かした。
蕩けてしまいそうな快感。
クリトリスを指で刺激して、遙さんの体から湧き出る快感を増幅させる。
じっとアタシを見つめているお兄ちゃん。

ねえ、気づいてる?
お兄ちゃん――アタシなんだよ。
今お兄ちゃんとエッチしてるの、唯なんだよ――

「ああっ!あっ、あっ、ひんっ、はあ、あっ、あ〜」
「はぁ、はぁ。うっ、はぁ、はぁ」

遙さんの大きな胸が上下に揺れてる。
お兄ちゃんはその胸を掴んで、何度も何度も揉んでくれた。
暖かいお兄ちゃんの手。
アタシはすごく幸せだった――

「ああっ、いい!あっ、あっ……やだっ……あんっ」
「俺もっ……すごくいいっ!遙っ、遙っ」
「ああ〜っ、お、お兄……」

お兄ちゃん――
お兄ちゃん――

「んあああっ!」
「ああっ!」

一瞬、全身が快感で埋め尽くされた感じ。
気持ちよすぎて、頭の中が真っ白。
勝手に体がビクビクと震えて――アタシはお兄ちゃんと一緒にイッてしまった――





それから――
アタシは何度も何度のお兄ちゃんを求めた。
時間がある限り、ずっとお兄ちゃんと抱き合っていたい。
お兄ちゃんは不思議な顔をしていたけど、アタシのワガママにずっと付き合ってくれた。
こうやって、大好きなお兄ちゃんと裸になって触れ合っていたい。
でも――

ベッドの枕元にあるデジタル時計を見ると、もうすぐ5時間が経とうとしていた。
短い時間――ううん、お兄ちゃんにとってはすごく長かったと思う。

遙さんに憑依していられるのもあと少し。
ううん、もうあと1秒で終わってしまうかもしれない。

「どうしたんだ遙?」
「……あ、あの……」
「ん?」
「あ、あのね」
「何だい?」
「り、隆司……」
「ど、どうしたんだよ。泣きそうな顔して」
「ア、アタシ……ずっと離れたくない」
「……ああ。離さないさ」
「アタシ……このままずっと一緒にいたい。大好きなの。ほんとに大好きなのっ」
「お、おい……」

お兄ちゃん!
お兄ちゃんっ!

その時がきちゃったみたい――
遙さんの体に固定されていたアタシの幽体がフッと軽くなる。

「大好きっ、お兄ちゃんっ!」
「えっ……え!?お、お兄……ちゃん??」

アタシは幽体が離れる瞬間、遙さんの口を借りて――そう叫んだ。





「ん……んん」

ゆっくりと目を開けると、アタシは自分の部屋にいた。
あの薬の効果が切れて、元の体に戻ってきたみたい。

まるで夢のような出来事。
ううん、夢だったのかもしれない。
アタシの願望を夢で見させてくれる薬。
そうだったのかも。
でも、アタシの体は現に使われて――


ピロピロピロ――


アタシの携帯。

「も、もしもし?」
「あ、唯か?」
「お、お兄ちゃん……」
「お前、今何処にいるんだ?」
「ど、何処って……家だけど」
「……そ、そうか」
「何?」
「い、いや。もしかしてお前……」
「アタシが……どうしたの?」
「その……いや。何でもないんだ。遙がちょっとな」
「遙さんが?」
「さっきまでの数時間、記憶がなかったらしくて」
「……そ、そうなんだ」
「ああ。でさ、もしかして……」
「…………」
「…………。……そうだな。そんな事、ある訳ないか」

お兄ちゃんは何かを言おうとして、そのまま言葉を飲み込んだみたい。

「いや、何でもないんだ。唯は元気にしてるか?」
「……うん。元気だよ」
「……そっか。たまにはそっちにも遊びに行くから」
「いいよ別に。お兄ちゃんは新婚さんなんだから、遙さんを大事にしなきゃダメだよ。分かった?」
「そんなの分かってるって」
「じゃあ切るよ」
「ああ。じゃあな」
「うん……」


アタシは携帯を握り締めたままベッドに寝転んだ。
やっぱり夢じゃなかったんだ――

大好きな気持ちは変わらないけど、もう二人の間に割り込んだりしないからね。
結婚したいと思ってたけど、想いを伝える事が出来たし、
お兄ちゃんと結ばれたし!

アタシも、お兄ちゃんみたいな男の人を探して結婚するよ。
その時は、遙さんと二人で祝福してね。
ねえ、お兄ちゃん!

おわり