「こうやってお兄ちゃんのためだけに料理するのって始めてだな。家ではお母さんの手伝いで一緒に作った事はあるけど、家族全員の料理だったし。今はアタシ一人でお兄ちゃんの朝ごはんを作ってるんだ。これってやっぱり嬉しけど、恥ずかしいって感じ」

アタシはワクワクしながらトーストを焼くと、目玉焼きを作ろうとフライパンを温め始めた。
すると、後ろの扉が開く音がして――

「ふぅ〜。ただいま」

お兄ちゃんが――アタシの大好きなお兄ちゃんが帰ってきた。

「あ……」
「お!遙、朝ごはん作ってくれてるのか」
「えっ……あ、う、うん」
「朝寝坊のお前が珍しいな」
「あっ……えっ!?」
「好きだよ、遙」
「なっ……ああ」

お、お兄ちゃん――

お兄ちゃんはアタシの後ろに寄り添うと、いきなりエプロンの中に手を入れ始めた。
遙さんの――ううん、アタシの体に触ってる。
お兄ちゃんが、アタシのお兄ちゃんがアタシを求めてる。
こ、こんなの、信じられないよ。

「遙……」
「あ、ああ……」
「どうしたんだ?そんなに硬くなって。緊張してるのか?」
「えっ……そ、それは……」
「らしくないな。そんな遙も好きだけどさ」
「あっ!」

うそ……
お兄ちゃんの左手が股間を弄ってる。
やだ、感じちゃうよ。
お兄ちゃんといるだけでもドキドキしてるのに、そんな事されたら――そんな事されたら――

「んっ、ふぅん」
「もう感じているのかい?」
「お、お兄……隆司……」
「え?」
「う、ううん。何でもない。何でもないけど……んはぁ」
「なあ……」

お兄ちゃんはコンロの火を止めると、アタシに信じられない事を口にした。

「遙、今からしようか」
「え!?」
「目覚めの一発……てね!」
「ア、アタシと?」
「他に誰がいるんだ?浮気でもして欲しいのか?」

アタシは心臓が飛び出すんじゃないかって思うくらいドキドキしていた。
アタシがお兄ちゃんとエッチするの?
お兄ちゃんがアタシとエッチしたいって言ってるの?
遙さんの体だけど――遙さんの体だけど――

うれしい――

お兄ちゃんがアタシを求めてくれた。
そう言ってくれただけでも、遙さんに憑依してよかった。
でも――アタシはお兄ちゃんと結ばれたいと思った。
肉体的にも――


「そ、それじゃ……する?」

お兄ちゃんに向かって、思い切り大胆発言。

「ああ」

お兄ちゃんと結ばれるなら、もうどうなってもいい。
そう思ったアタシの心はとても大きくなっていた。
アタシは遙さんの体からピンクのエプロンを外すと、お兄ちゃんにセクシーな姿を見せようと、中途半端な服の着方をした。
中に来ていたグレーのTシャツとブラジャーを脱ぎ、オレンジ色した服のボタンを外して胸をチラリと見せ付ける。


「遙、どうしたんだよ。お前……」
「……どう?隆司。アタシの姿。こんな女性は嫌?」
「そうじゃなくて……いつもよりすごくセクシーに見えるよ」
「んふ、ありがと」

アタシは顔を赤らめながら返事をした。

スルスルッと肩から服を落としたアタシは、お兄ちゃんに「裸になって」と呟いた。
もっと大胆になれる。
お兄ちゃんの前で、もっと大胆になれる。
お兄ちゃんになら、なんだってしてあげられる。


そう思ったアタシは、遙さんのこの大きな胸を使ってお兄ちゃんを喜ばせてあげようと思った。
アタシには出来ない行為を――