「剛史……んっ」
「すごくそそるよ、伸子の裸エプロンの姿」
「は、恥ずかしいよ。そんな風に言わないで」
「だって……すごくいいんだ」
「剛史……愛してる」
「俺だってさ、伸子」


――あの時は本当に幸せだったわ。
恥ずかしかったけど、剛史のためならなんだって出来ると思ってたの――





私は剛史と観覧車の前で仲良く手をつないでいる写真をしながら自慰をした。
剛史は私にとって忘れられない人。
でも、半年前に私は彼にふられたの。
私は剛史の事を精一杯愛していたし、私も剛史に愛されていたと思っていたわ。
それなのに、剛史は私よりもあの人を選んで結婚してしまった――

「はぁ、はぁ……あっんっ。どうして?どうして剛史は理奈を選んだの?」

剛史を私から奪ったのは大学時代、同じサークルに入っていた理奈。
地味な私に対して、派手な振る舞いで剛史に迫った彼女は、色気を使って剛史に近づき、
私よりも先に関係を持ってしまった。
とても辛かった。でも、剛史は「もう理奈には近づかない」と言ってくれたので信じたわ。
それが私に出来る精一杯の努力だったから。
私としては恥ずかしいと思った事も、剛史が望むなら受け入れてきた。
それでも――私は裏切られたの。

彼は理奈と一緒に現れ、「俺達、結婚する事にしたんだ。俺、伸子の事を愛していたと思ったけど、本当に愛していたのは理奈だった」と。
「ごねんね伸子。私、伸子以上に剛の事を愛しているし、誰にも渡したくない。だから……」
その二人の言葉を聞いて――目の前が真っ白になって――
何をどう返答して良いのか分からなかったわ。
結局、私からは何も言えないまま。
その後、二人は結婚して新婚生活を送っているのよ。
それも、私が住んでいるワンルームマンションから五分も離れていないマンションで。

「剛史〜、剛史〜あっ、ああっ!」

私の体が剛史を求めている。
剛史のことを忘れられないまま、私はこの切ない気持ちを胸に半年間も一人で耐えてきた。
でも――もう限界。
私はどんな事をしても、剛史を取り戻したいと思ってしまった。
だから私は――


つづく