「ん?出来たのか」

俺はゆっくりと体を起こすと、俯いて自分の姿を眺めた。
ベッドに横たわっていた体は、フリルの付いた白いネグリジェをを着ている。
そして、ほっそりとした白い腕にネグリジェから伸びる細い足。

「思ったより簡単だったな」

自慢の低く伸びるような俺の声は、女性の透き通るようなものに変化していた。
いや。この声は、俺が今こうやって乗り移った加賀見 光恵(かがみ みつえ)のものだ。
ネグリジェの胸元から覗く胸も、腕も足も。
そして顔を掠める紫のショートカットだって全てが光恵のものだった。

加賀見光恵という女性は、隣の家に住んでいる加賀見家の一人娘だ。
今年OLになったと、光恵の母親が言っていたのを覚えている。
そんな光恵に一種の恋愛感情を抱いていた俺は、予てから考えていた計画を実行に移した。
それは、彼女自身になること。
今年三十六歳。家内を持つ俺が光恵と付き合うなんて事は出来ない。
それなら光恵そのものになって、彼女の全てを俺の物にしたい。
そう思ったのだ。

「それにしても、思った通りの体だな」

光恵の体をしげしげと眺めた俺は、何の遠慮もすることなくネグリジェを脱ぎ捨てた。
白いブラジャーの中でプルンと二つの胸が揺れるのを感じる。
鼓動が早くなったのを感じる。
初めての体験。興奮しないわけがない。
こんなに若い女性の体を自由に使うことが出来るのだから。

「よし、まずはこの体でオナニーだ」

彼女の台詞がいやらしくて、更に興奮を覚える。
俺はベッドに寝転がると、ブラジャーを上にずらして胸を揉んでみた。

「柔らかい――家内の胸と同じだ」

家内の胸よりも大きいそれは、手のひらには収まりきらない。
そんな胸を何度も揉んでいるうちに、自分の体では感じることの出来ない『気持ちよさ』を感じることが出来た。
胸を揉まれるというのはこういう感じなのだろうか?
勃起し始めた乳首を重点的に弄ると、ビリビリとした感覚が脳に直接伝わってくる。

「うっ、はぁ――あっ」

思わず喘いだ光恵の声。
まるで俺が光恵を犯しているような――いや、きっとそうなのだ。
俺がこうやって弄ると、光恵を俺の手で弄っている事になるのだ。
そして、本当の光恵も俺が発したように喘ぐはず。

クチュッ

独りでに滑り込んだパンティの中。
ヌルヌルとした愛液を右手の指に感じた俺は、中途半端にパンティを脱いでアソコを弄り始めた。
乳首とは違うストレートな快感。
クリトリスの皮を剥いて、光恵の快感をひねり出す。

「ふああっ!あっ。す、すごい――この体の快感は一体……」

指の腹でプックリと膨れたクリトリスを擦ると、信じられない快感が全身を包み込んだ。
意識しなくても震える体。
これが女のオナニーか――癖になりそうだ。

クチュクチュといういやらしい音と共に、光恵の艶のある声が部屋の中にあふれ出す。

「あっ、い、いいっ!ク、クリトリスがっ――こ、こうやって――う、ひぃっ」

たまらず足を突っ張り、背中を反らせる。
この気持ちよさは、そうやって表現するしかなかった。

「ああっ!あっ……あうっ、はあ、はあ、ああっ――ああああっ!」

俺の体が――光恵の体が快感に打ち震えた。
気持ちいいという表現を通り越した気持ちよさ。
どう表現すればよいのか分からない。
極上の気持ちよさ?
至極?
天にも昇るような?
いや、それらよりもはるかにすごい快感だった。
男の俺には禁断の快感だ。

「はあ、はぁ――はぁ、はぁ、はぁ」

何度も何度も息をする。
まだじわじわと沸き起こっている快感の余韻。
今、もう一度オナニーしたらすぐにでもイケそうな気がする。

「はぁ、はぁ、はぁ。も、もう一度今の快感を――」

俺は愛液に包まれた指で、また光恵のクリトリスを弄り始めた。

「あっ、あっ、はぁ、はぁはぁはぁっ!ああっ、あっ、あっ、ああ〜っ!」

思ったとおり――光恵の体はあっという間に絶頂を迎えた。
しかし、俺はその後も光恵の快感を貪り続けた――


つづく