しばらくして――

紀子(恵美)は目をパチパチと開いて、薄暗い天井を見つめていた。

「だ、だめ。全然眠れないっ!」

これでコップが買えるとを思うと、興奮して眠れない。
幾ら目を閉じていても、全然眠気が襲ってこないのだ。

「あ……そうだ。私の身体、床に置きっぱなしだった」

ふと思い出した紀子(恵美)は電気をつけて部屋を出ると、自分の部屋に入った――
まだ電気が付いたままの部屋に、恵美の身体が大の字になって寝転がっている。

「……ちょっと情けない姿ね」

そう言うと、意識の無い身体をベッドの上に移動させるために、両脇の下から腕を入れて引きずり始めた。

「お、重い……」

自分の身体がこんなに重いと思わなかった紀子(恵美)。
だが、床を引きずりながら何とかベッドに運ぶ事が出来た。
近くで見ると、おでこが薄っすらと膨れていることに気が付く。

「あ〜あ、これってタンコブになっちゃってる?……しばらく残るかな?可哀想な私」

紀子の手を使い、恵美の頬をそっと撫でる。

「ごめんね恵美。お姉ちゃんが全部悪いの。だから明日はお姉ちゃんが高平重則さまのコップを買ってきてあげるから」

白々しく紀子の口調を真似した恵美。
そう言った本人も、本当に紀子が言っている感じがして不思議な感じだ。

「ゆっくり寝てていいんだよ。おやすみ恵美」

チュッとおでこにキスをした紀子(恵美)。

「痛かったかな?でも意識は無いから何とも思わないんだろうなぁ」

表情に変化を見せない恵美を見て、そう思った紀子(恵美)。
それにしても、他人の目から見た自分というのは何となく変な感じだ。
鏡で見る姿や、ビデオで見る姿とはまた違った雰囲気。
それは、自分の意思や行動とは無関係な状態にあるからかもしれない。
自分なのに、他人になった気分。

「これが本当の私なのよね〜」

なんていいながら、冗談半分で胸を揉んでみる。
紀子の手で揉んだ胸の感触は、自分の手で揉んだ感触とは少し違うような……何故か、ちょっと柔らかい感じ出した。
パジャマの上から、何度かムニュムニュと揉む。
表情を変えない恵美は、まるで精巧に作られたマネキンのようだった。
でも、その肌のぬくもりはマネキンには無いもの。
確かに恵美の身体なのだ。

「……自分の胸を揉んでるだけなのに……お姉ちゃんの身体が疼いてるみたい……」

恵美の胸を揉んでいるうちに、紀子の身体が反応し始めたようだ。
ちょっとエッチな気分になる。

「お姉ちゃん、もしかして生理前だったのかな?それとも私、もしかしてレズっ気があるとか……」

身体がちょっと熱くなり、鼓動が早くなった紀子(恵美)。

「こ、こんなことしたら……もっと感じるのかな……」

少しの興味で、意識の無い恵美のパジャマのボタンと、ブラジャーのフロントホックを外してみた。
重力のせいで、お椀が少し潰れたようになっている恵美の胸。
その胸を直接揉んだ紀子(恵美)は、ゆっくりと顔を近づけて乳首をペロンと舐めた。

「…………」

こんな事するの、やっぱり恥ずかしい。
だから自分はレズじゃないんだ。
そう思った紀子(恵美)は、口に乳首を含むと舌を使って転がし始めた。
たまに乳首に吸い付いてみる。

すると、意識の無い恵美の身体は、少しずつ変化していった。
もちろん表情は変わらないのだが、口に含んでいる乳首が勃起したのだ。

「……私の身体、意識が無くても感じてるんだ……」

更に乳首を刺激する。
自分がされたら気持ちがいいように。
何もしていないもう片方の乳首も、自然に勃起している。

「私の身体ってこんなにいやらしかったのかな?」

意識が無くても感じている自分の身体の反応に、そんな事を思った紀子(恵美)。
しばらく続けているうちに、紀子の下半身が切なくなったことを感じた。

「…………」

紀子(恵美)は自分の身体への悪戯をやめると、紀子の部屋に戻った。
しんと静まり返った部屋。
ドクッ、ドクッという紀子の心臓の音が聞こえてきそうだ。

「お、お姉ちゃん……ちょ、ちょっとだけ……いい?」

そう呟くと、ゆっくりと両手を胸に近づけていった――