――学園祭当日

優子はコスプレイベントのために用意された更衣室にいた。
頑張ってバイトしているならともかく、10万円という高校生には手に入りにくいお金(商品券)がほしいのか、それとも目立ちたいのか?
この更衣室には30人ほどの生徒が集まって、それぞれが持ってきた衣装に着替えを始めていた。
もちろん、女の子ばかりで男子は別の更衣室が用意されている――
今年はレベルが高そうだ。
かなり凝った衣装を身に着けている女の子もいる。
男子生徒の視線を集める事が優勝への近道だと思っている女の子が多いようで、肌が露出している衣装が多い。
優子のライバル……というか優子が勝手にそう思っているだけなのだが、さくらは去年と同じ衣装を身に纏っていた。
あれから1年経ったさくらは、ほんの少しだけ大人びた雰囲気をプラスしていた。
その微妙な雰囲気が、またしても男心をくすぐるのかもしれない。

着替えが終わった女の子が早々と更衣室を出てゆく。
早く着替えて男子生徒達の興味を集めたほうが得だと思っている女の子が多いのだ。
もしかしたら、さくらもその一人かもしれない。

「優子はまだ着替えてないのね。じゃあ先に行ってるから」
「どうぞどうぞ。私はゆっくりと着替えるから。さくらは早く行って男の子の視線を集めているといいわ」
「……ふぅ。じゃあそうするわ」

呆れ顔のさくらが更衣室を出てゆく。
先ほどまでにぎわっていた更衣室だが徐々に人影がなくなり、今は優子一人になってしまった。
しんと静まり返る更衣室で、やっと優子が着替えを始める。

「更衣室から騒がれたんじゃ大変だもんね!」

そう言って、紙袋から白いプラグスーツと水色のカツラを取り出すと、昨日と同じように着替えを始めた。
下着だけを身に着けてプラグスーツを着込む。
すると、昨日と同じように見事なプロポーションの優子が完成したのだった。

更衣室に仮設置された姿見に、自分の姿を映しこむ。
自分でもうっとりするようなそのスタイル。
でも、ちょっと気になる事があった。

「……やっぱり見えるよね、下着のラインが」

お尻に浮かび上がるパンティのラインと、脇の下から背中にかけて薄っすらと見えるブラジャーのライン。
完璧を目指している優子にとっては、このラインが気になって仕方がなかった。

「恥ずかしいけど……ラインが見えるの、嫌だから……」

小さく呟いた優子は、誰もいない更衣室でプラグスーツを脱ぐと、さっと下着を脱いで全裸になった。
その後、急いでプラグスーツを着込み、もう一度姿見に自分の姿を映してみた。
先ほど見えていた下着のラインはなくなり、滑らかな身体の曲線が映っている。
パンティを穿かなくても引き上げられるお尻。
そして強調される胸。

「うん。これで完璧だわ」

水色のカツラをかぶり、アニメのヒロインになりきった優子。
下着を付けずにみんなの前に出るのはちょっと恥ずかしいけど、白い割には全然透けて見えないので安心したようだ。
大きく深呼吸をした優子は、ちょっとドキドキしながら更衣室の扉を開けた――