「ただいま」
「おかえり」

家に着いた優子は、二階にある自分の部屋で私服に着替えると母親のいるキッチンで夕食の手伝いを始めた。
親子の楽しそうな笑い声が聞こえるキッチン。
だが、優子の家には何者かが侵入した形跡があった。二人ともそれには気づいていないようだ。
しばらくして父親も帰ってくると、家族での団欒。
その後、部屋に戻った優子はベッドの前に置かれた紙袋に気が付いた――
「あれ?何これ」

たしか、学校から帰ってきた時には無かったはず。
優子は不審に思いながらも、その紙袋を手に取り中身を確認した。

「えっ、服?」

紙袋の中には、白っぽい服のような物が入っている。
それを取り出した優子は、じっとその服を眺めた。

「これって、コスプレ衣装……だよね?」

優子の手に持っているのは、白い全身タイツのような服。
服というか何と言うか……
このコスプレ衣装、アニメにはあまり興味がなかった優子でも見た事がある。
確か最近、夜のテレビでやっていたものだ。
プラグスーツとかいう名前だったような気がする。

「こんなコスプレ衣装、誰が持ってきたのかしら?」

そう思いながら両手で持ち上げてじっくりと見る。
全体的には白いが、腕の部分に紺色の生地が混じっている。
そして両肩にはオレンジのラインが、首の下には『00』という数字が書かれていた。
足のつま先から手の指先まで、首から下を全て包み込むような感じだ。

「すご〜い。これって本物みたい」

優子が驚いたのは、そのプラグスーツの生地だ。
今まで見た事の無い生地。
ナイロン系かと思うのだが、やたらに伸縮性がありそうだ。
背中にファスナーが付いていると思いきや、そんなものはない。
これだけ生地が伸びるのだ。
きっと首のところを広げて着る事が出来るのだろう。
プラグスーツの内側の生地の滑らかな指ざわりに妙な興奮を覚える。

「……ちょっと着てみようかな……」

そう思った優子の足元に、水色のショートカットのカツラが転がった。
紙袋の底に入っていたようだ。

「やっぱり。これってあのアニメのヒロインのコスプレなんだ」

そのカツラを手に取り、頭に被ってみる。
茶色がかったセミロングの髪をカツラの中に押し込むと、結構フィットする。

「これでこのプラグスーツを着てみたら……」

鼓動が高ぶる。
優子は白いブラジャーにパンティという下着姿になると、ドキドキしながらプラグスーツの首元を広げた。
すごい伸縮だ。
これなら優子のお尻が簡単に入りそう。

「すごい……こんなに広がるんだ」

そう呟いた優子は、プラグスーツの中に足を入れ始めた。
何となく生暖かいプラグスーツの生地。
右足を入れ、そして左足を入れる。
次にお尻を包み込むように引き上げると、そのままゆっくりと生地を伸ばして両腕を入れた。
そして胸を包み込んだ後、肩までしっかりと着込む。

「あっ……」

身体が締め付けられるな感覚を覚えた優子。

「な、何?」

自然にお尻が引き上げられ、太ももを締め付ける生地は足を長く見せている。
お腹やウェストも締め付けられた感じ。
また、脇の下から胸にかけて押し上げるように生地が動いたような気がする。
おかげで、さくらほど大きくなかった胸が、負けないくらいに強調された。
見事なくびれをみせる優子の身体。
そして異様なほど皮膚に吸い付き、密着するプラグスーツの生地。
指先にも全く隙間がなく、まるで優子のために作られた衣装のようだった。

「すごい。すごいよこれ!」

自分でも驚くようなセクシーなスタイルになった優子は、嬉しそうにキッチンに下りると、父親と母親に自分の姿を披露した。

「優ちゃん……ど、どうしたの、その姿?」
「ゆ、優子……お、お前……」
「へへ〜ん、すごいでしょ。どう?私の身体」

両親の前でクルッと一回転し、その容姿を見せびらかす。
両親も、あまりのセクシーさに驚いているようだ。

「そ、そんなにスタイルよかったかしら」
「違うのよ、お母さん。コスプレ衣装のおかげなのっ!この衣装が身体のラインを矯正してくれるのよ」
「…………」

父親は何も言わず、恥ずかしそうに横目で見ているだけだった。

「この衣装なら、明日のコスプレ選手権、絶対に優勝できるわ!」
「ね、ねえ優ちゃん。そんな姿で人前に出るの、恥ずかしくないの?」
「恥ずかしくないわよ。別に裸になってるわけじゃないんだから」
「それはそうだけど……」
「去年は2位だったから今年こそ優勝するの。そして10万円の商品券で好きな服を買うんだっ!」

嬉しそうに話した優子は、また自分の部屋へと戻っていった。

「あの子ったらあんな姿で人前に出るだなんて。ねえお父さん」
「あ、ああ。そうだな……

何故か父親は前かがみになって母親と話していた――


「本当はバニーの衣装で出場しようと思ってたけど……これなら絶対に優勝できるわっ!」

興奮して中々眠れない。
優子が身体を休めているベッドの横に置いてある紙袋には、先ほど来ていた白いプラグスーツと水色のショートカットのカツラが入っていた。
誰が置いたものかもわからない不審な衣装だが、そんな事は全然意識していないようだ。
その衣装は、優子が寝静まった後、不思議な事にモゾモゾと独りでに動いていた――